安易に近づかないようにしましょう。
チャイロスズメバチによる巣の乗っ取りとは
本来のスズメバチは女王バチが春から巣を作り産卵を始めて働きバチを増やしながら巣を大きくしていきます。ところがチャイロスズメバチはその流れとは違い自分で一から巣を作って群れを育てる性質が弱くキイロスズメバチやモンスズメバチなど別の種類が作った巣へ入り込んで利用する習性があります。見た目だけで巣の主を判断しにくいことがあり巣の周囲を飛ぶ蜂の色や大きさがそろわない時は乗っ取りが起きている可能性も考えられます。
チャイロスズメバチの女王バチはほかのスズメバチより遅い6月ごろから活動を始め乗っ取った巣の中で産卵を進めながら自分の働きバチを増やしていきます。そのため一定の時期には元の巣を作った蜂とチャイロスズメバチが同じ巣の中にいる特殊な状態が続きます。現場では出入りする蜂の大きさや色合いがばらつくことがありいつもと違う飛び方を見かけた時は巣へ近づかない判断が大切です。最終的にはチャイロスズメバチだけが残る形へ移るため途中段階の巣ほど警戒しにくく危険を見落としやすくなります。
チャイロスズメバチは社会寄生をする蜂として知られています。通常の社会性昆虫では女王バチや働きバチなど役割が分かれて巣を維持しますが本種はほかの社会性昆虫の巣を利用して増えていく点が大きな特徴です。このような習性を持つスズメバチは珍しく生息地も限られるため見かける機会は多くありません。とはいえ珍しいから安全ということではなく巣の周囲で複数種が混じるような場面では刺激に対する反応が読みづらく不用意な接近が事故につながりやすくなります。
毒針についてですがチャイロスズメバチの毒は痛みが強いことで知られています。刺された直後から激しい痛みが出ることがあり状況によっては毒液を霧のように飛ばして目や顔へ被害が及ぶおそれもあります。巣の近くで作業をする時や庭木の手入れで低い位置から急に蜂が飛び出した時は手で払ったり顔を近づけたりせずその場を離れることが重要です。見かけた段階で無理に対処しようとせず蜂駆除業者へ相談したほうが安全ですし高所や壁の中や出入口付近の巣では早めの相談が現場対応の目安になります。
チャイロスズメバチの分布と行動範囲
チャイロスズメバチは日本を含むアジア地域で見られるスズメバチの一種です。日本では本州や四国や九州などで確認されており山林に近い地域だけでなく人家の周辺で見かけることもあります。成虫を単独で見かける場面もありますが巣の近くでは警戒行動が強まり急に接近してくることがあります。晩夏から秋にかけて活動が目立ちやすく樹木の多い庭や物置の周囲や軒先などでも飛行が見られることがあります。自分で大きな巣を作るより他種の巣を利用するため見かける巣の形や位置は元の巣に左右されますが外から巣が見えにくい場所でも出入りが続くことがあります。木の枝先だけでなく戸袋や壁のすき間や屋根まわりなどでも警戒が必要です。巣を見つけた場合や同じ場所をしつこく飛ぶ個体を見かけた場合は近寄らず通行や作業を止めることが初期対応になります。
予防法
チャイロスズメバチの被害を減らすには乗っ取られる元になる巣を早めに見つけることと蜂を寄せやすい環境を整えないことが大切です。巣の種類をその場で見分けようとして顔を近づけるのは危険なので飛行の様子や出入りする位置を離れた場所から確認して異変があれば早めに相談する流れが向いています。
●巣ができないようにする
チャイロスズメバチはほかのスズメバチが作った巣を利用することがあるため春から初夏にかけて別種の巣ができにくい環境を整えることが予防につながります。庭や周辺の落ち葉や枯れ枝を片付けて軒先や建物のすき間や物置の内側を点検し小さな初期巣の段階で異変に気づける状態を保つことが大切です。黒い影になりやすい場所や雨の当たりにくい場所は営巣されやすいため定期的な確認が役立ちます。
●餌を出さないようにする
チャイロスズメバチは昆虫や花の蜜を利用しますが人家周辺では生ごみや果実やペットのえさに引き寄せられることもあります。庭に落ちた果実を長く放置しないことやごみ袋の口を閉じることや屋外に食べ残しを置かないことが誘引防止に役立ちます。樹液の出る木の近くではほかの蜂も集まりやすいため近くでの長時間作業は避けたほうが安全です。
●防護対策をする
チャイロスズメバチは人が近づくと警戒して攻撃的になることがあります。外出や庭作業では肌の露出を減らし香りの強い整髪料や香水を控えて蜂を刺激しにくい服装を意識すると接触を減らしやすくなります。白や黄色だけで安全になるわけではありませんが黒く大きく動くものへ反応する場面もあるため帽子や上着で頭や首を守れるようにしておくと安心です。
●早期発見・駆除をする
チャイロスズメバチは単独で飛んでいるように見えることもありますが近くに乗っ取られた巣がある可能性があります。個体数が少なく見えても巣の内部に多くの蜂が潜んでいることがあるため自分で駆除を進める判断は慎重に行う必要があります。高所の巣や出入口近くの巣や複数の蜂が警戒飛行をしている場面では蜂駆除業者に依頼するほうが無難です。
チャイロスズメバチはどんな蜂なのか?
チャイロスズメバチは独特な生活史を持つスズメバチで見た目の特徴だけでなく巣の増え方や行動の変化にも注意が必要です。以下の特徴を知っておくと現場で違和感に気づきやすくなり巣に近づく前に危険回避しやすくなります。
●大きさ
成体は存在感のある大きさで飛んでいるだけでも目立ちます。大型の個体では見上げた時に圧を感じやすく通常のアシナガバチより太く重い印象を受けます。大きさだけで種類を断定するのは難しいものの庭先で同じ場所を低く飛ぶ大型個体を繰り返し見かける時は巣が近いおそれがあります。
●外見
体色は茶褐色を帯びた落ち着いた色合いで頭部や胸部の見え方にも特徴があります。遠目では地味に見えても近くでは太い体つきと強いあごが目立ちます。似た色の蜂と見分けにくいことがあるため色だけで追いかけて確認せず飛ぶ方向と出入りの位置を優先して見たほうが安全です。
●社会性
一般的なスズメバチのように自前の群れを発達させるだけでなく他種の巣へ入り込んでその群れを利用する点が特徴です。そのため巣の中では時期によって元の巣の蜂とチャイロスズメバチが混在することがあり周囲で見かける蜂の種類が一定しない場合があります。こうした状態の巣は行動が読みづらく不用意な刺激で一気に危険が高まることがあります。
●巣の特徴
自分で大規模な巣を一から作るより他種の巣を利用して広げるため巣の外観だけで本種の巣と見抜くのは簡単ではありません。軒下や戸袋や木の枝や壁の裏など元の巣があった場所でそのまま活動が続くことがあり巣の見た目より周囲の飛行状況が手がかりになります。出入りする蜂の色や大きさに差がある時は近くで観察を続けないことが重要です。
●餌と狩り
昆虫やほかの蜂の幼虫などを捕食し活動期には餌を探して広く飛び回ります。樹液や食べ物のにおいにも寄ることがあるため庭木の周辺や果実の落ちた場所やごみ置き場では接触が起きやすくなります。餌場での警戒心が強い個体もいるため近くに集まっている場面では追い払おうとせず静かに離れることが安全です。
●攻撃性
チャイロスズメバチは巣や自分の身に危険を感じると攻撃することがあります。刺された時の痛みが強いだけでなく毒液が目に入る被害も警戒する必要があります。顔の周囲をしつこく飛ぶ時や空中で止まる時は警告段階のことがあるため手で払わず身を低くして離脱することが基本です。刺傷後に息苦しさやめまいやじんましんが出た場合は早急な医療対応が必要です。
チャイロスズメバチは人との接触による健康被害だけでなくほかの蜂の巣を利用することで周囲の蜂相にも影響を与えることがあります。そのため巣を発見した場合や大型の蜂が同じ場所を繰り返し飛ぶ場合や襲われた場合は専門業者や地元の自治体に連絡して適切な対策を取ることが重要です。見つけた巣が小さく見えても高所や閉鎖空間や通路近くにある時は危険性が高くなります。初期対応では近づかないことと人を寄せないことを優先し状況を整理してから蜂駆除業者へ相談すると安全につながります。