収録専門用語目次:細菌病
用語一覧
細菌病
細菌病(Bacterial Disease)は、動物や虫において細菌によって引き起こされる疾患を指します。これらの病気はさまざまな細菌によって引き起こされ、臨床症状や感染経路は多岐にわたります。以下では、動物や虫における代表的な細菌病について詳しく説明します。
1.アントラックス(炭疽症):
病原体: Bacillus anthracis(バシラス・アンスラーシス)。
感染経路: 感染した動物の死体や土壌、食物などを介して感染。
症状: 発熱、吐き気、息切れ、皮膚の潰瘍など。
感染の危険性: 人畜共通感染症で、人にも感染が広がりやすい。
2.ブルセラ症:
病原体: Brucella属(ブルセラ)。
感染経路: 感染動物との接触、生乳や未加熱の乳製品の摂取、飛沫感染など。
症状: 発熱、関節痛、筋肉痛、慢性化する場合は不妊症など。
感染の危険性: 家畜や野生動物が感染源となり、人にも感染が可能。
3.クロストリジウム症:
病原体: Clostridium属(クロストリジウム)。
感染経路: 土壌、糞便、傷口などから感染。
症状: 便秘、下痢、発熱、筋肉の痙攣など。
感染の危険性: 畜産動物や野生動物が感染源となり、傷口からの感染が主な経路。
4.レプトスピラ症:
病原体: Leptospira属(レプトスピラ)。
感染経路: 汚染された水、感染動物の尿などから感染。
症状: 発熱、筋肉痛、黄疸、腎不全など。
感染の危険性: 野生動物や家畜が感染源で、水辺での活動がリスクとなる。
5.パストレラ症:
病原体: Pasteurella multocida(パスツレラ・マルトシダ)。
感染経路: 傷口、気道、消化器などから感染。
症状: 発熱、呼吸困難、喉の炎症、?疱など。
感染の危険性: 家畜やペット、野生動物が感染源となり、咬傷や傷口から感染が起こる。
6.マイコプラズマ症:
病原体: Mycoplasma属(マイコプラズマ)。
感染経路: 空気感染、直接接触、性的接触など。
症状: 咳、発熱、関節痛、尿路感染症など。
感染の危険性: 家畜、鳥類、ヒトなど幅広い範囲で感染が見られる。
7.サルモネラ症:
病原体: Salmonella属(サルモネラ)。
感染経路: 汚染された食品、水、動物などから感染。
症状: 下痢、発熱、腹痛、嘔吐など。
感染の危険性: 家畜、鳥類、ペットが感染源となり、食品由来の感染が起こりやすい。
8.フォーカル・ヘルペス症:
病原体: Mycobacterium avium subspecies paratuberculosis(MAP)。
感染経路: 感染した動物や土壌、飲料水、母子感染など。
症状: 下痢、体重減少、慢性的な腸炎など。
感染の危険性: 家畜、特にウシが感染源となり、ウシからヒトへの感染も報告されている。
9.パリ病:
病原体: Yersinia pestis(イェルシニア・ペスティス)。
感染経路: ネズミを媒介とし、ネズミの取り込み、ノミによる媒介、感染動物との接触など。
症状: 発熱、リンパ節の腫れ、組織壊死、敗血症など。
感染の危険性: ネズミやネズミに寄生するノミが感染源となり、人への感染も報告されている。
これらの細菌病は、動物や虫に対して様々な症状や影響をもたらすものであり、感染経路や病原体の特性に基づいて適切な予防策や治療法が考えられています。動物の健康管理や感染症対策の強化は、畜産業や野生動物保護の観点から重要な課題となっています。